
診療内容
■ 近視
視力低下の代表的な原因に「近視」があります。世界的に見て日本人には近視の人が多く、人口の6割以上が近視と言われています。
正常な目では、網膜上に焦点を結びます。しかし近視の場合は、遠くを見たとき、角膜や水晶体を通った光が網膜よりも前でピントを結んでしまい、焦点が合わないため、はっきりと物を見ることができません。
近視の場合は、メガネやコンタクトレンズで矯正すれば網膜上にきちんと焦点が合うようになり、日常生活に支障をきたさない視力を保つことができます。
時々誤解をされている方がおられるのですが、適切なメガネを使っていれば、メガネの使用によって視力が低下することはありません。また、メガネの度数によって、見え方や目の疲れ具合も異なってきます。お子様の場合ですと、視力の発達具合にも影響が出てきます。
メガネやコンタクトレンズで視力矯正をされる際は、きちんと眼科医の診察を受けましょう。

■ 老眼
老視(老眼)は、40歳前後から始まる目の老化現象です。
目のピントを合わせている水晶体の弾力性が衰えて調節幅が小さくなるために、近いところが見えにくくなります。近くが見えにくくなっているのに無理をしていると、肩こり、目の疲れ、頭痛、吐き気などの症状が現れ、日常生活にも支障が及んでしまうこともあります。
また、視力の低下を感じていても老視だからと自己判断して放置される中高年の方が少なくないのですが、緑内障や加齢黄斑変性などの別の疾患で視力が低下している可能性もあります。目が霞んだり、なんとなく見えにくくなってきたように思われる方は、自己判断せず、一度は眼科医を受診することをお勧めします。

■ 白内障
白内障は、目の水晶体部分が白く濁ってくる病気で、その多くは加齢によるもので、老人性白内障(加齢白内障)といわれています。
老人性白内障は白内障患者の7割以上を占めますが、他にも先天性や外傷性、アトピー、糖尿病など代謝性の病気、薬剤や放射線による白内障もあります。
白内障は水晶体に含まれるタンパク質が白く濁ったり、硬くなったりすることで起こりますが、なかには黄色や茶色っぽく濁ったりする場合もあります。
これらの変化は、個人差はありますが、老人性白内障の場合では早い方は40歳代頃から始まり、加齢とともに増えていきます。一方、アトピー性の白内障や糖尿病による白内障は、30~40歳代くらいの比較的若年層に発症する事がわかっています。
このほかにも、妊娠中の母体の風疹感染で生まれつき白内障を発症しているケースや、けがや薬の副作用で白内障を起こすこともあります。
白内障の治療
-
点眼薬
初期の場合は点眼薬を用いますが、一度濁ってしまった水晶体は、薬で透明に戻すことはできません。あくまでも、病気の進行を遅らせるのが目的となります。

-
手術治療
日常生活に支障をきたすほど症状が進行した場合は、手術をすることが望ましいでしょう。濁った水晶体を取り除き、人工眼内レンズを挿入します。
■ 緑内障
日本人における視覚障害の原因の第1位は緑内障です。治療せずに放っておくと失明してしのうおそれがあります。40歳以上の日本人の20人に一人が緑内障と推定 されています。
緑内障は、視野(見える範囲)が狭くなってくる病気です。両目で見ていると、片方の目に見えない部分があっても、もう片方の目でカバーしてしまうため、見えない部分がかなり広がるまで気づきにくく、症状が進行してから発見されることが多い病気です。
また眼圧が急激に上昇して発症する急性緑内障では、眼の痛みや頭痛、吐き気など激しい症状を起こすことがあります。急性緑内障は、充血や瞳が青っぽくなるといった見てすぐにわかる症状が出やすいです。
緑内障を早期に発見し、治療をきちんと受けて、眼圧をしっかり管理できれば、多くの場合、失明に至ることはありません。早期発見と治療を継続することが大切です。
原因
丸い形をしている眼球内には眼内液(房水)が入っていますが、眼球が常に丸い形に保たれるように内部で一定に加わっている圧力が眼圧です。
しかし何らかの原因で房水の流れが妨げられると眼球内の房水の量が増加して眼圧が上昇し、視神経が押しつぶされて損傷し、正常に機能しなくなります。
緑内障の中でも日本人に多いのが正常眼圧緑内障だといわれています。正常眼圧緑内障とは、眼圧が高くないにもかかわらず緑内障になることをいいます。視神経が痛めつけられる大きな原因は高眼圧ですが、眼圧は正常値にもかかわらず緑内障を発症する人が多いことがわかっています。
視神経乳頭の強さは人によって異なりますが、視神経が構造的に弱い場合、正常レベルの眼圧でも視神経が傷つけられています。
眼圧は1日の中でも変化しており、1年を通じてみると、冬季に高く、夏季に低くなりやすいことも知られています。年齢、性別、近視や遠視の程度、人種、体型、運動、血圧なども眼圧にします。
緑内障の方は特に1日の眼圧の変化が大きいです。
治療
-
薬物療法
房水の流れを良くしたり産生量を減らす薬で眼圧を下げます。点眼薬1つから始め、様子を見ながら薬の変更や追加を行います。

-
レーザー治療
レーザーを虹彩や繊維柱帯に当てて房水の流れを作り出します。痛みが少なく、短時間で行うことができます。
-
手術
房水の通り道を確保したり、毛様体で房水の産生を抑制する手術を病状に合わせて行います。
■ 糖尿病網膜症
糖尿病の合併症として起きてくる眼の病気で、緑内障とともに成人してからの中途失明の代表的な原因疾患となっています。糖尿病網膜症は、糖尿病患者の約40%で見られ、糖尿病腎症、糖尿病神経症と並んで、糖尿病の三大合併症といわれます。
自覚症状がほとんどないために、糖尿病を治療しないでいる人が少なくありませんが、合併症は確実に発症・進行しています。糖尿病網膜症の症状は、病気の進行とともに変化しますが、自覚症状が現れたときには、かなり進行し、治療が困難になっていることもあります。
糖尿病網膜症は、定期的な検診と早期の治療を行えば病気の進行を抑えることができます。失明防止のためにも、医師から指示された間隔で定期検査を受けることが重要です。
また、糖尿病の眼の合併症は、網膜症以外にも、白内障など、さまざまな病気があります。

■ アレルギー性結膜炎
アレルギー性結膜炎とは、花粉や住まいの中にあるほこりなどのアレルゲンが原因になって結膜(まぶたの裏側と白目の部分を覆っている粘膜)に炎症を起こす病気です。結膜の炎症のほかに、掻痒感、眼がゴロゴロする(異物感)、めやに、涙が出るなどの症状が出ることもあります。
花粉などが原因で、特定の季節にのみ症状があらわれる季節性アレルギー性結膜炎と、一年中症状がみられる通年性アレルギー性結膜炎があります。
重症のものでは、子どもに多くみられる春季カタル、ソフトコンタクトレンズを使っている人にみられる巨大乳頭結膜炎などがあります。
血液検査や皮膚テストで、アレルゲンを調べることも大切で、アレルギーの原因がわかれば、アレルゲンを避けて通る対策を立てることができます。
原因(主なアレルゲン)
-
花粉
スギ(1~5月)、ヒノキ(3~5月)、カモガヤ(5~7月)、ブタクサ(8~10月)
-
ハウスダスト(チリ、ホコリ、ダニ、カビなど)
-
動物の毛
-
コンタクトレンズの汚れ

治療方法
治療の基本は、目のかゆみや充血をおこさないようにすることで、抗アレルギー点眼薬を使います。
花粉などの時期が予測できる場合には、花粉の飛びはじめる前から抗アレルギー点眼薬を使用すると、花粉がたくさん飛ぶ時期の症状が軽くなったり、症状がでる期間が短縮されたりしますので、症状が出る前に眼科を受診することをおすすめします。
■ 眼科定期検診
目の疲れやすさや、見えにくさを感じていませんか。加齢に伴う目の衰えにさまざまな外的要因が加わり、目の機能が低下した状態、またそのリスクが高い状態を「アイフレイル」といいます。この状態を放置するとさらに衰えが進行し、日常生活において見え方に不快感や困難を感じ始めたり、生活の質(QOL)の低下につながります。40代、50代は目の不自由や不安を感じ始めやすい年代。目の健康寿命を延ばし快適な生活を送るために眼科定期検診をお勧めします。
